服部正 研究室 ウェブサイト

甲南大学文学部人間科学科に所属する服部正(美術史、芸術学)のウェブサイトです。
アウトサイダー・アート、アール・ブリュット、障がいのある人の創作活動などを研究領域として、調査研究、著述、展覧会の企画などを行っています。

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学会、調査、その他。

2019年09月14日

気がつくと、前回の投稿から2ヶ月以上経過していました。頻繁にブログやFacebookやTwitterを更新しておられる方々を心底尊敬します。投稿できなかったのは、何も書くべきことがなかったというよりは、あまりに色々あって、ブログのことを考える余裕がなかったからです。以下、近況報告を兼ねて前回の投稿以降にあったことを箇条書きしておきます。

神戸市北区のしあわせの村で開催される「心のアート展 2019」に審査員として参加しました(7月12日)。詳しくは、会期が近づきましたら「インフォ」でお知らせします。

以前にインフォでお伝えしたように、広島県立美術館で「民族藝術学会第153回研究例会」を企画しました(7月13日)。発表者の福田浩子さんのご尽力で、県立美術館の友の会の方々も多く参加してくださり、とても充実した例会になりました。

共同研究員として参加している国際日本文化研究センターの研究プロジェクト「縮小社会の文化創造:個・ネットワーク・資本・制度の観点から」の研究会で、「アール・ブリュット、共生という名の分断」というテーマで発表を行いました(7月27日)。学際的なメンバーの研究会で意見交換ができて、とても刺激になりました。

オランダとベルギーに障害者の創作活動についての調査に行ってきました(8月16日~28日)。改築工事中の「マッド・ミュゼー」を見学して美術館のスタッフの皆さんと意見交換をしたり、障害者のためのアトリエをいくつも訪問したりと、充実した調査を行うことができました。書き始めるときりがありませんが、とりあえず一つだけご紹介しますと、ヘントのギズラン博士博物館でやっていた「血液検査」という展覧会がとても刺激的でした。ダウン症の出生前診断の問題を、ダウン症の人とアーティストが一緒に考えるプロジェクトで、アーティストと障害当事者が協働しながら美術や音楽や舞台などで作品化して、その結果を展覧会として紹介するものでした。障害者の作品を壁にかけているだけでは分断は止められないし政治は変えられない。そのような強い意志が感じられました。

犬島と豊島にゼミ生13人とゼミ旅行に行ってきました(8月30日~31日)。台風を心配しましたが、幸いお天気にも恵まれ、犬島精練所美術館、犬島家プロジェクト、豊島美術館、豊島横尾館など、現代美術を堪能した2日間でした。豊島のボルタンスキ―の心臓音のアーカイブで自分の心音を登録する学生もちらほらいて、学生たちにも良い学びの機会になったのではないかと思います。豊島のレンタル自転車がいつの間にか電動自転車になっていて快適に島内を散策できました。

滋賀県立膳所高校の美術の時間に招かれ、「アール・ブリュットと障害者支援」というテーマで授業をしてきました(9月6日)。滋賀県という土地柄、他の講演者の皆さんはアール・ブリュットの意義や可能性についてお話しされているだろうと思い、アール・ブリュットという考え方での障害者支援には限界があるという逆の立場からお話をさせていただきました。多様な考え方があるということを示すことは、フィルターバブルを回避するためにも大切なことだと伝えたかったのですが、やや虚を突かれたような雰囲気の学生さんが多かったように感じました。帰り道では自分の話の拙さに少し落ち込みました。

また、この間に3回、落穂寮での作品調査を行いました。その成果は随時「調査研究プロジェクト」にアップしていきます。