調査研究プロジェクト
- 福祉施設や美術家の調査研究を行った成果を
公開可能な範囲で公表します。
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甲南大学社会的処方研究プロジェクト
- 甲南大学総合研究所の助成を受けて、2023~2024年度に、甲南大学に所属する4名の教員で「社会的処方の手法による学生支援の実践的研究」と題する研究プロジェクトを実施しました。 本研究は、大学への適応に困難を抱える学生に対する支援の手法について、近年医療や福祉の分野で注目を集める「社会的処方」の手法を応用し、実践的な検証と手法の開発を行うものであり、臨床心理学、社会学、芸術学の知見を融合させる学際的な試みとなりました。 2年間の研究成果として、のべ23回の現地視察、5回のオンラインでの研究会、1回の対面での研究会、1回の公開研究会を実施しました。屋台カフェの実践は2年間で16回を数え、多くの知見を蓄積することができました。現地視察では、社会的処方の具体例として取り上げられる活動拠点や、地域社会でのつながりの創造のリソースとなっている施設、あるいはその潜在的な可能性を持つと思われる施設・活動などを、チーム構成員の専門性と関心に応じて選択しつつ訪問調査を行いました。そして、各地での調査による知見に基づき、詳しく話を聞いて学びを深めたいと思う方々に依頼して、研究会の講師を務めていただきました。 研究会に招聘した講師は、医療福祉や地域創造の専門家から、キュレーターや芸術家まで多岐にわたった。それらの研究会を通じて、公共の場所に屋台でカフェを出すことの効果、若者にとって魅力のある居場所となるための要点、カジュアルな場所で相談を行う時に注意すべき点、アートで人と人をつなぐための手法、大学という場に社会的処方を導入することの意義、アートを通じて地域社会とつながる方法など、多くの知見を得ることができたと考えています。このような文献調査、視察、研究会を通じて知見を深めつつ、それらと並行して月に1回のペースで屋台カフェの実践活動を行いました。実践活動を通じて生じた疑問が次の研究会のテーマにつながるなど、実践と研究を有機的に循環させながら、活動の質を高めていくことができました。特に、名古屋大学の学生支援本部と、この活動を通じて継続的な関係を構築することができたことは大きな成果です。それぞれの活動を相互に視察し、それは甲南大学での対面での研究会の開催につながっただけでなく、2025年5月10日に名古屋大学で開催された日本学生相談学会第43回大会のワークショッププログラムのひとつとしてご招待いただき、研究代表者として服部がワークショップの講師を務め、名古屋大学学生支援本部前で「雑談・屋台カフェ」の実演も行うことができました。 医療関係者による活動や地域活性化の活動の中でも、各地で屋台を活用した実践の事例は多くありますが、「雑談」にフォーカスして屋台のスタッフや周辺にいる参加者との5分間の「雑談」と引き換えに無料でコーヒーを提供するというルールを明確化したところに、本研究の独自性を見出すことができます。実践活動を繰り返す中で、「雑談・屋台カフェ」の運営方法も徐々に洗練されていきました。活動には有志学生のボランティア参加が不可欠でした。学生の意欲を引き出すために、ゼミのオリエンテーションに雑談・屋台カフェを導入し、参加への意欲を高めること、学生が参加しやすいようにカフェの実践を準備と撤収も含めて11:00~14:00とし、参加者を前半と後半に分けるという仕組みが確立していきました。開催する場所によって、提供する飲み物の数には幅があったものの、概ね1回の活動で30~50杯の飲み物を提供し、総計では16回の活動で約620杯の飲み物を提供することができました。当初の予想を超えた成果として、学生の他に職員の方々が昼休みに立ち寄ってくださり、学生たちと歓談する姿が多くみられました。また、2024年1月の公開研究会でこの活動を知り、その後、定期的にカフェ活動に参加してくださった学外の方もおられました。実践の中で、大小さまざまな学生の悩みや打ち明け話を聞く機会があり、それは大きな成果といえるものですが、それ以上に、大学という場所に「雑談・屋台カフェ」という場を差し込むことが、大学組織そのもののメンテナンスにも役立つということが理解できたのは大きな成果でした。 活動の成果は、2025年3月10日に発行した54ページの『総合研究所 社会的処方研究プロジェクト 報告書』にまとめました。この報告書がきっかけとなり、2025年度もそれぞれの構成員が多くの研究・実践・発表の機会をいただいていますし、「雑談・屋台カフェ」の実践活動も月1回程度のペースで継続し、多くの支持を得ています。 下記のリンクから、報告書のPDFを閲覧できます。

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服部正+髙橋耕平 Research Question vol.01:芸術家と障害のある人の創作が出会う時
- このプロジェクトでは、障害のある人の表現活動に深く関わり、大きな成果を上げて来た6人のアーティストにインタビューを行い、展覧会というかたちで公表しました。インタビューでは、障害のある人の表現活動について、次のような疑問を投げかけました。 1.なぜ関わるようになったのか 2.関わる時に気をつけていることは何か 3.関わったことで、自分自身の創作活動にどのような影響があったか 4.今後、障害のある人が表現活動を進めていくうえでの課題は何か インタビューは、障害のある人の表現活動を長く研究対象としてきた服部正が行い、映像の撮影・編集は美術家の髙橋耕平が担当しました。展覧会は、京都芸術大学人間館1階のギャルリ・オーブ前のスペースで、2023年1月10日から6日間開催しました。 このページは、その記録です。 このプロジェクトは、JSPS科研費18K00154の助成を受けたものです。 This project was supported by JSPS KAKENHI Grant Number 18K00154.

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落穂寮作品調査プロジェクト
- 滋賀県湖南市の社会福祉法人椎の木会落穂寮で昭和30~40年代に寮の利用者によって制作された絵画作品の調査を行っています。採寸、撮影した作品リストと作品画像を順次公開します。 協力 社会福祉法人椎の木会落穂寮 ※ この調査はJSPS科研費 26370121, 18K00154の助成を受けたものです。

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小幡正雄作品整理プロジェクト
- 小幡正雄は、日本を代表するアウトサイダー・アート/アール・ブリュットのアーティストです。2010年1月の小幡の没後、彼が生活していた福祉事業所には1000点を超える作品が遺されていました。それらの作品を調査、整理し、所有者を確定させるプロジェクトに関わってきました。 協力 社会福祉法人くすのき会ひふみ園 ※ この調査はJSPS科研費 25284046, 26370121 の助成を受けたものです。

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